・ITパスポートってどんな資格なの?
・ITパスポートに合格するにはどんな勉強法があるの?
・合格した人はどんな勉強をしていたの?
ITパスポートとは
ITパスポートはIPA(情報処理推進機構)が主催する情報処理技術者試験の一つです。
国家資格となってはいますが、難易度は低く、ITに関する共通的な基礎知識を身につけることができるのでIT分野に苦手意識を持っている方や未経験からITエンジニアを目指す方向けにおすすめの資格となります。
■社会人/学生
IPAが公表している受験者の内訳と合格率(令和5年4月度)は下記の通りとなります。
応募者の8割弱が社会人で社会人の合格率は54.5%となります。
学生も2割程度応募しており、合格率は社会人には劣るものの39.4%となっています。
受験者全体の合格率は51.1%とIT資格の中では高い水準となっています。
応募者 | 受験者 | 合格者 | |||
人数 | 構成比 | 人数 | 人数 | 合格率 | |
社会人 | 14,721 | 77.8% | 12,660 | 6,896 | 54.5% |
学生 | 4,212 | 22.2% | 3,686 | 1,451 | 39.4% |
合計 | 18,933 | 100% | 16,346 | 8,347 | 51.1% |
■社会人内訳
社会人の中でIT系の仕事をしている方と非IT系の仕事をしている方で内訳を見ると下記表のようになっています。
IT系の合格率は50.6%、非IT系の合格率は55.5%と直感に反して非IT系の合格率の方が高くなっています。
難易度が高くないだけに合格できると過信して対策を怠っていることが一つの原因ではないかと思われるので本記事を読んでいる皆さんはしっかり対策をした上で受験するようにしましょう。
基礎的なIT知識を身につけたい方向けの資格となるので応募者の割合としてはIT系は21.0%、非IT系は79.0%と非IT系の割合が高いです。
応募者 | 受験者 | 合格者 | |||
人数 | 構成比 | 人数 | 人数 | 合格率 | |
IT系 | 3,092 | 21.0% | 2,746 | 1,390 | 50.6% |
非IT系 | 11,629 | 79.0% | 9,914 | 5,506 | 55.5% |
合計 | 14,721 | 100% | 12,660 | 6,896 | 54.5% |
■学生内訳
学生応募者の内訳は下記の通りとなります。
大学生が最も応募者が多く、次いで高校生が多くなっています。
合格率は年齢が上がれば高くなる傾向が見られるものの、小・中学生でも34.9%の合格率となっており、対策をしっかり行えば、合格は難しくありません。
応募者 | 受験者 | 合格者 | |||
人数 | 構成比 | 人数 | 人数 | 合格率 | |
大学院 | 177 | 4.2% | 153 | 99 | 64.7% |
大学 | 2,218 | 52.7% | 1,896 | 924 | 48.7% |
短大 | 39 | 0.9% | 33 | 8 | 24.2% |
高専 | 89 | 2.1% | 78 | 36 | 46.2% |
専門学校 | 559 | 13.3% | 494 | 82 | 16.6% |
高校 | 994 | 23.6% | 915 | 262 | 28.6% |
小・中学校 | 46 | 1.1% | 43 | 15 | 34.9% |
その他 | 90 | 2.1% | 74 | 25 | 33.8% |
合計 | 4,212 | 100% | 3,686 | 1,451 | 39.4% |
ITパスポートの出題内容
ITパスポートはストラテジ系(経営全般)、マネジメント系(IT管理)、テクノロジ系(IT技術)の大きく三分野の問題が出題されます。
問題数は100問で1000点満点となります。
合格基準は総合評価点が600点以上かつ分野別評価点もそれぞれ300点以上であることとなります。
下記表のように、いずれか一つでも合格基準を下回ると不合格となります。
総合評価点 (得点/総合評価点の満点) | 分野別評価点 (得点/分野別評価点の満点) | 合否 | ||
ストラテジ系 | マネジメント系 | テクノロジ系 | ||
600点以上/1000点 | 300点以上/1000点 | 300点以上/1000点 | 300点以上/1000点 | 合格 |
600点未満/1000点 | 300点以上/1000点 | 300点以上/1000点 | 300点以上/1000点 | 不合格 |
600点以上/1000点 | 300点未満/1000点 | 300点以上/1000点 | 300点以上/1000点 | 不合格 |
600点以上/1000点 | 300点以上/1000点 | 300点未満/1000点 | 300点以上/1000点 | 不合格 |
600点以上/1000点 | 300点以上/1000点 | 300点以上/1000点 | 300点未満/1000点 | 不合格 |
以下で分野ごとの代表的な問題について見ていきます。
解答が知りたい方はこちらをご参照ください。
ストラテジ系
35問程度出題されます。
過去出題された問題をいくつか見てみましょう。
令和5年度試験の問2では知的財産権に関する問題が出題されました。
知的財産権には代表的なものとして特許権、実用新案権、意匠権、著作権があり、これらの対象となる成果物や各権利の違いが問われます。
知的財産権に限らず、こういった企業活動を行う上で理解が必要となる代表的な法令や権利などについて出題されます。
令和5年度試験の問23ではビジネスプロセスのモデリング手法について出題されました。
国際規格で定められているモデリング手法やソフトウェア開発で一般に使用されることが多いUML(統一モデリング言語)など業務を行う中で使用するビジネスツールについて出題されます。
令和5年度試験の問32ではRFP(提案依頼書)について出題されました。
大規模なITシステムは一般に「調達→要件定義→設計→製造→テスト→リリース」の流れで作られます。
RFPは「調達」の際に、ITシステムの作成を依頼する企業からITシステムを製造するベンダー企業へ導入目的や機能概要を示し、提案書の提出を求めるものになります。
このように、ITシステムの開発では各工程でどのようなことが行われるのかを問う問題も多く出題されます。
マネジメント系
20問程度出題されます。
こちらも過去出題された問題をいくつか見てみましょう。
令和5年度試験の問37ではシステム監査についての問題が出題されました。
監査とはITシステムがいつでも使用可能であるか(可用性)や故障によって止まったときに復旧可能であるか(信頼性)、セキュリティ対策が十分であるかを第三者が確認することです。
基本的なシステム監査知識や監査技法、監査フローなどが出題されるので対策しておきましょう。
令和5年度試験の問42ではテスト工程での作業内容について出題されました。
ストラテジ系のところでも触れましたが、ITシステムは「調達→要件定義→設計→製造→テスト→リリース」の工程に沿って作られます。各工程でどのようなことをしているのかをそれぞれ理解しておくことが必要となります。
テスト工程は単体テスト→結合テスト→システムテストの順に実施します。それぞれの工程でプログラムが正常かどうか、プログラム間の連携が正常かどうか、システムとして正常かどうかを確認します。
このようにITシステム開発技術に関する問題も多く出題されます。
令和5年度試験の問54ではプロジェクトマネジメントの一つであるスコープマネジメントに関する問題が出題されました。
スコープマネジメントとはプロジェクトの成果物や作業範囲を定めて、それを達成できるようにマネジメントをすることです。
プロジェクトマネジメントの世界標準であるPMBOK(Project Management Body of Knowledge)では、プロダクトスコープで成果物を定義し、プロジェクトスコープで作業範囲を定義するように記載されています。
スコープマネジメントにかぎらず、プロジェクトマネジメントに関する問題も出題されますのでしっかり対策しましょう!
テクノロジ系
45問程度出題されます。
こちらも過去出題された問題をいくつか見てみましょう。
令和5年度試験の問60ではプログラムについての問題が出題されました。
プログラムの内容を見て、どのような入力値が与えられたときにどのような出力値を返すのかが問われます。
未経験者・初心者にとってはここが1番の難関です。プログラムの基本構文を理解しておくようにしましょう。
令和5年度試験の問70ではシステムの構成に関する問題が出題されました。
システムの品質を評価する指標としてRASIS(ラシス、レイシス)というものがあります。
信頼性(Reliability)、可用性(Availability)、保守性(Serviceability)、保全生(Integrity)、安全性/機密性(Security)の頭文字をとってRASISと呼ばれています。
それぞれを高めるための構成にはどのようなものがあるのか、学習しておくようにしましょう。
例えば、信頼性、可用性を高めるための構成として冗長構成(複数台同じサーバを起動しておくことで片方が故障しても継続して処理を行えるようにする構成)があります。
令和5年度試験の問78ではデータベースについての問題が出題されました。
一般によく使用されている関係データベースではエクセルのような行と列がある表を作成してデータを管理しています。関係データベースの用語(主キー、外部キー、インデックスなど)を理解しておくようにしましょう。
テクノロジ系ではデータベース、ネットワーク、セキュリティといった技術要素に関する問題が出題されます。
ITパスポートの勉強法
続いて、本題である勉強法についてご紹介します。
勉強法としては参考書や過去問題を解いて独学で勉強する方法、資格取得のための学校に通う方法の大きく二つがあります。
ITパスポート試験は難易度が高くないため、費用対効果も考慮すると独学で勉強することをおすすめします。
それでは独学での勉強法についてご紹介したいと思います。
自身が合格した際に実施していた方法になるので参考にしていただければと思います。
インプット(参考書を読み込む)
まずは試験対策として必要な知識のインプットを行います。
参考書を購入し、最低2周は読み込み、知識を定着させるようにしましょう。
以下でおすすめの参考書をご紹介します!
各章の題名に記載の参考書名から購入サイトに飛べるようになっています。
よくわかるマスター 令和4-5年度版 ITパスポート試験 対策テキスト&過去問題集
特徴①:シラバスVer.6.0(知識・技能の細目)の出題範囲に対応
本書はIPAが2021年10月に改訂したシラバスVer.6.0の出題範囲に対応しています。
他の参考書ではシラバスの一部が省かれていることもありますが、本書ではシラバスのほぼ全てを網羅しているため、シラバスに沿った目次構成で体系的に学習することができます。
筆者も受験時に購入していた参考書であり、各ページでの解説内容が丁寧でわかりやすいと感じました。
特徴②:圧倒的な用語数(約3,000語)を解説
IPAのシラバスVer.6.0は60ページ程度あり、幅広い分野の多くの用語が記載されています。
本書ではシラバスに記載のある用語のうち、約3000語を解説しており、必要となる知識を身につけることができます。
最近話題の用語も各ページに参考として記載されており、最新の知識にキャッチアップできます。
特徴③:オリジナル予想問題を計136問収録(解説付き)
各章末にはオリジナルの予想問題が収録されており、学習した内容をすぐにアウトプットすることができます。すべての問題(不正解の選択肢も含む)に詳細な解説がついているため、正解の理由、不正解の理由を知ることで理解が深まります。
また、過去問も付属するCD-ROMに収録されているので有効活用しましょう。
口コミ・評価
良い口コミ、悪い口コミそれぞれ紹介します。
まずは良い口コミからですが、「出題範囲の内容が詳細に記載されている」や「上位資格に繋げやすいように補足がある」とあり、参考書の内容に充実感を持つ読者が多いようです。
Amazonの評価では4.1/5.0となっており、全体的な満足度も高くなっています。
一方で悪い口コミの中には「入門向きではない」や「専門用語の解説が不十分」などといった声もあり、少し難しいと感じる読者もいたようです。
文字だらけの参考書ではなく、図や表を用いて解説されている参考書の方が良い方はもう少し難易度の低い参考書がおすすめかもしれません。
いちばんやさしいITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集
特徴①:短期間で一発合格を狙うことを目的とした参考書
多くの図や表が用いられており、初心者や未経験者にもわかりやすいように丁寧に解説されています。
一発合格を謳っているだけあり、合格に必要となる最低限の知識に絞って解説してあります。
短期合格を目指す方にはこちらがおすすめと言えるでしょう。
特徴②:過去問の徹底研究
繰り返し出題されている頻出の過去問のみが厳選して掲載されています。
過去問を解く時間が十分に確保できない方はこちらの問題を解くことで短期間で対策を行うことができます。
特徴③:万全の読者サポート
本書内に記載のあるこちらのサイトから無料の解説動画を視聴できたり、不明点を質問することができます。
よくある質問として過去の質問も確認できるので他の参考書と比較するとサポートが手厚いです。
自分で調べてもよくわからないことが多いなと感じる方はこちらの参考書ベースで学習をすると良いかもしれません。
口コミ・評価
良い口コミとしては「初心者にも一番わかりやすい」や「基礎本としてよかった」といった声があり、初心者・未経験者の方向けの良書となっています。
全体の評価としても4.4/5.0と高評価されている参考書になります。
続いて悪い口コミですが、「初歩中の初歩しか記載されていない」や「記載されていない言葉が多い」などといった声がありました。初心者・未経験者の方向けに短期合格を狙った参考書になるので基本的な知識の解説が丁寧である一方で、不足している内容があると感じる読者もいたようです。
アウトプット(過去問を解きまくる)
必要な知識が身に付いたらアウトプットすることでより理解を深めましょう。
ITパスポート試験は年度ごとの過去問がこちらのサイトに掲載されています。最低5年分の問題を解いて対策するようにしましょう。
本番では知らない用語や知識が出題されることもあるので、筆者自身は10年分の問題を解いてコンスタントに80%を取れるようになってから試験に臨みました。
ITパスポートの申込方法
ITパスポートの試験の受験申込ページから試験日を予約しましょう。
アカウント発行後、利用者情報を入力すると受験申込が可能になります。
全国のテストセンターで受験できるので都合の良い日時で予約しましょう。
受験の際には利用者ID、受験番号、確認コードの3つの情報(確認票を印刷すればOK)と有効期限内の顔写真付き本人確認書類が必要となるので忘れずに持参しましょう。
まとめ
・ITパスポートってどんな資格なの?
→IPA(情報処理推進機構)が主催する情報処理技術者試験の一つでITに関する基礎的な知識が身に付きます。難易度は低いので未経験者・初心者におすすめです!
・ITパスポートに合格するにはどんな勉強法があるの?
→勉強法には「独学」と「学校に通う」の2パターンありますが、独学で勉強することをおすすめします。
インプットとして参考書を読み込み、アウトプットで過去問を解きまくりましょう!
・合格した人はどんな勉強をしていたの?
→筆者はこちらの参考書で学習した後に過去問道場で最新の10年分の過去問を解きました。