独学でも合格できる!基本情報技術者試験の勉強法をご紹介します!

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IT資格の中では中程度の難易度で新米ITエンジニアの向けの資格である基本情報技術者についてご紹介します。
筆者の実体験に基づき、合格のために必要な勉強法を記載しているのでぜひご参考にしてください!
この記事で解決できるお悩み

基本情報技術者ってどんな資格なの?
基本情報技術者に合格するにはどんな勉強法があるの?
合格した人はどんな勉強をしていたの?

基本情報技術者とは

基本情報技術者はIPA(情報処理推進機構)が主催する情報処理技術者試験の一つです。
IPAはITSS(ITスキル標準)というITに関する能力を評価する指標を公表しています。
基本情報技術者は7段階のレベルの中でレベル2と定められており、難易度は中程度の資格となります。
ITエンジニアとして必要となる知識・技能を身につけることができるので新米ITエンジニアやITパスポートの次に受ける資格を探している方向けにおすすめの資格となります。

■社会人/学生

IPAが公表している応募者、受験者、合格者の内訳と合格率(令和5年4月度)は下記の通りとなります。
応募者の6割弱が社会人社会人の合格率は60.1%となります。
学生も4割程度応募しており、合格率は社会人には劣るものの51.7%となっています。
受験者全体の合格率は56.4%とIT資格の中では高い水準となっています。

種別応募者受験者合格者
人数構成比人数人数合格率
社会人6,33156.1%5,8533,51960.1%
学生4,96343.9%4,6602,40951.7%
合計11,294100%10,5135,92856.4%

■社会人内訳

社会人の応募者、受験者、合格者を経験年数別にまとめると下記表の通りとなります。
合格率は経験年数に依存せず、約60%程度となっています。
仕事での経験では知識・技能が偏る傾向があるため、試験のために対策を行う必要があることがわかります。
応募者数を見ると無記入を除き、1年未満が11.5%と一番多くなっており、新米エンジニアが多く受験していることがわかります。

経験年数応募者受験者合格者
人数構成比人数人数合格率
経験なし2914.6%27516760.7%
1年未満72911.5%67646969.4%
2年未満3665.8%32820161.3%
2年以上
4年未満
5498.7%49928557.1%
4年以上
6年未満
4417.0%40423157.2%
6年以上
8年未満
2323.7%21010751.0%
8年以上
10年未満
2043.2%18910555.6%
10年以上
12年未満
1562.5%1438055.9%
12年以上
14年未満
1021.6%915459.3%
14年以上
16年未満
941.5%895258.4%
16年以上
18年未満
651.0%613659.0%
18年以上
20年未満
571.0%512549.0%
20年以上
22年未満
571.0%542546.3%
22年以上
24年未満
571.0%532547.2%
24年以上2103.3%1998844.2%
無記入2,72143.0%2,5311,56962.0%
合計6,331100%5,8533,51960.1%

■学生内訳

学生の応募者、受験者、合格者の内訳は下記の通りとなります。
専門学校生が最も応募者が多く、次いで大学生が多くなっています。
専門学校では学校全体で受けるところもあり、応募者が多くなっているのではないかと思います。
合格率は年齢が上がれば高くなる傾向が見られるものの、小・中学生でも77.8%の合格率となっており、対策をしっかり行えば、合格は難しくありません。

種別応募者受験者合格者
人数構成比人数人数合格率
大学院1623.3%14912785.2%
大学93318.8%868618 71.2%
短大230.5%2113 61.9%
高専460.9%4430 68.2%
専門学校3,04361.3%2,8681,260 42.9%
高校2895.8%27515456.0%
小・中学校120.2%9777.8%
その他4559.2%42623054.0%
合計4,963100%4,6602,40951.7%

基本情報技術者の出題内容

基本情報技術者はこれまでは春季、秋季の年2回全国各地の試験会場で開催され、午前問題、午後問題が出題されていました。
2023年4月より、CBT方式に変更となったため、通年で受験することが可能となりました。

CBT方式では科目A、科目Bに分かれています。

科目Aは4つの選択肢から正答を選ぶ形式で60問90分となっています。
ストラテジ系(経営全般)、マネジメント系(IT管理)、テクノロジ系(IT技術)の大きく三分野の問題が出題されます。

科目Bは複数選択肢から正答を選ぶ形式で20問100分となっています。
プログラムやアルゴリズム、情報セキュリティに関する問題が出題されます。

科目A、科目Bともに1000点満点中600点以上を取れば合格となります。
下記表のように、いずれか一つでも合格基準を下回ると不合格となります。

科目A科目B合否
600点以上/1000点600点以上/1000点合格
600点以上/1000点600点未満/1000点不合格
600点未満/1000点600点以上/1000点不合格
600点未満/1000点600点未満/1000点不合格

以下で分野ごとの代表的な問題について見ていきます。
解答が知りたい方はこちらをご参照ください。

科目A:テクノロジ系

新方式の過去問はありませんが、サンプル問題では計41問となっているので41問程度出題されることが予想されます。
過去問の午前問題に対応しているので過去出題された午前問題をいくつか見てみましょう。

令和3年度試験の問3では待ち行列モデルについての問題が出題されました。
待ち行列をはじめとして応用数学を題材とした問題はよく出題されるのでしっかり学習しておくようにしましょう。中学、高校時代に数学が苦手だった方は要注意です!

令和3年度試験の問9ではアルゴリズムについての問題が出題されました。
基本情報技術者では特定言語のプログラムは出題されませんが、どの言語でも汎用的に使用できるアルゴリズムについて出題されます。
本問のような再帰処理(定義した関数を同じ関数内から呼び出すこと)や繰り返し処理、配列の並び替え処理などは頻出なので理解しておきましょう。

令和3年度試験の問19ではオペレーティングシステムの処理についての問題が出題されました。
オペレーティングシステムはハードウェア(CPUやメモリ、カーネルなど)とソフトウェアを繋ぐソフトウェアのことでOSと呼ばれます。
皆さんが普段使用しているPCやスマホにはMac OS、Windows OS、Android、iOSなどのOSが搭載されており、OSによってハードウェアリソースが制御されています。
本問ではOSがメモリを制御する際の処理方式の一つであるページング方式について問われています。
長くなるので詳細な説明は割愛しますが、OS関連の問題は頻出です。

令和3年度試験の問28ではトランザクション処理についての問題が出題されました。
トランザクション処理とは複数の処理を一つにまとめたものでデータの不整合が起きないようにデータベースで使用されています。トランザクション処理についてイメージがつかない方はこちらをご確認ください。
トランザクション処理には原子性(Atomicity)、一貫性(Consistency)、独立性(Isolation)、耐久性(Durability)の4つの特性が求められ、これらの頭文字をとってACID特性と呼ばれています。

原子性:トランザクション内の処理が全て実行されるあるいは全て実行されないのどちらかの状態となること
一貫性:トランザクション前後でデータの整合性が損なわれないこと
独立性:トランザクション実行中の処理内容は他の処理に影響を与えないこと
耐久性:トランザクションが完了したら結果は記録され、データが失われないこと

令和3年度試験の問43ではセキュリティについての問題が出題されました。
ITシステムはアカウントIDやパスワードなどの個人を特定することのできる機密情報を扱う場合が多く、セキュリティ対策は非常に重要です。
ITシステムの脆弱性をついた攻撃は数多くあり、本問で出題されている自書攻撃、スニッフィング、ブルートフォース攻撃の他にもDoS攻撃、クロスサイトスクリプティング、クロスサイトリクエストフォージェリ、フィッシング、スニッフィングなどが代表的です。
各々の攻撃の概要は理解しておくようにしましょう。

科目A:マネジメント系

新方式の過去問はありませんが、サンプル問題では計7問となっているので7問程度出題されることが予想されます。
過去問の午前問題に対応しているので過去出題された午前問題をいくつか見てみましょう。

令和3年度試験の問52ではアローダイアグラムの問題が出題されました。
アローダイアグラムはプロジェクト全体の流れを図示したもので、◯が各作業の結合点、→が各作業、→の上の数字が作業にかかる時間となっています。
プロジェクトの進捗状況の確認方法に関する問題としてEVMやガントチャートなどがあるのでわからない方は学習しておくようにしましょう。

令和3年度試験の問56ではサービスマネジメントに関する問題が出題されました。
一般にITシステムはシステムの開発を依頼する企業とシステムの開発を受注する企業が契約した後に開発が始まります。契約の中では、工数(システムを開発するのに何人で何時間必要か)やサーバやソフトウェアにかかる費用、SLAなどで合意します。
本問で出題されているSLAはサービスレベルアグリメントと呼ばれ、ITサービスの可用性(いつでも使用できる状態にあるか)を定めた指標になります。SLAは「稼働率が99.5%以上であること」といったように数値化されて明記されます。

科目A:ストラテジ系

新方式の過去問はありませんが、サンプル問題では計12問となっているので12問程度出題されることが予想されます。
旧方式の午前問題に対応しているので過去出題された午前問題をいくつか見てみましょう。

令和3年度試験の問64ではシステム開発の要件定義工程に関する問題が出題されました。
大規模なシステム開発は「要件定義」→「設計」→「製造」→「テスト」の順に実施します。(ウォーターフォール型開発と言います。)
各々の作業単位を「工程」と呼び、どのような作業を行うかが定められています。
例えば本問でも出題されているように、「要件定義」工程ではこれから作るシステムが必要とする機能(機能要件)と機能以外で必要な要件(非機能要件)を決める必要があります。
それぞれの工程でどのようなことを行うのかは理解しておくようにしましょう。

令和3年度試験の問68ではビジネス戦略の策定手法に関する問題が出題されました。
企業経営を行うにあたり、どのような戦略を立てるかは非常に重要です。
全社的な戦略に基づいてIT戦略も立案されるため、戦略立案の手法やプロセスは理解しておくようにしましょう。
代表的な戦略立案手法としては下記問題の選択肢にあるバランススコアカードプロダクトポートフォリオマネジメントなどがあります。

令和3年度試験の問80では労働関連・取引関連法規に関する問題が出題されました。
一般的に大規模なシステムは一つの会社だけではなく、複数の会社が協働することで作られます。
案件を受注してお客様と調整を行う会社があり、その下に実際に設計、製造、テストを行う複数の会社がつきます。
会社間の契約形態は様々ありますが、本問で出題されている請負契約も代表的な契約形態の一つです。
契約形態を知らないままエンジニアになるとプロジェクトメンバーとの間でトラブルになることもあるので、しっかり理解しておくようにしましょう。

科目B

科目Bでは主にアルゴリズム、セキュリティに関連する問題が出題されます。
過去問はありませんが、サンプル問題は公開されているのでどのような問題が出題されるのか見ていきましょう。

サンプル問題問4では最大公約数を求めるアルゴリズムが出題されています。
最大公約数を求める際には高校数学でも学習するユークリッドの互助法を使います。
簡単な手順は下記になります。

①二つの整数A、B(A > B)があったときに大きい方の数字から小さい方の数字を割ったあまりCを求める。
②BをCで割ったあまりDを求める。
③CをDで割ったあまりEを求める。
④・・・・・
⑤・・・・・
あまりが0になるまでこれを繰り返し、あまりが0になった時に割った数がAとBの最大公約数になります。

これをプログラムで書くと本問のようになります。

ただ、ユークリッドの互除法を知らなくても、if、while、else、forなどの基本的な構文は理解していれば、数字を当てはめることで解くことができます。

サンプル問題問12では文字列同士の類似度を求める問題が出題されています。
表に記載されている文字列の入力と戻り値から逆算して、どのようなプログラムであれば良いかを答える問題となります。
こちらも基本的な構文と配列の扱いについて理解できていれば、さほど難しい問題ではありません。

サンプル問題問17ではITシステムのセキュリティ脆弱性に関する問題が出題されています。
ITシステムは一般に、複数企業が関わって開発、運用されることが多く、どこまでのセキュリティ対策をどこの企業が実施するのかといった責任分界点を明確にしておくことは非常に重要です。
本問のように他者のプラットフォームでアプリを稼働させている場合、セキュリティ脆弱性がアプリに起因するものなのか、プラットフォーム(OSやファームウェアなど)に起因するものなのかで責任分界点が分かれます。

基本情報技術者の勉強法

続いて、本題である勉強法についてご紹介します。
勉強法としては参考書や過去問題を解いて独学で勉強する方法、資格取得のための学校に通う方法の大きく二つがあります。
基本情報技術者試験は難易度がそこまで高くはないため、費用対効果も考慮すると独学で勉強することをおすすめします。

それでは独学での勉強法についてご紹介したいと思います。
旧方式の頃ではありますが、自身が合格した際に実施していた方法になるので参考にしていただければと思います。

インプット(参考書を読み込む)

まずは試験対策として必要な知識のインプットを行います。
参考書を購入し、最低2周は読み込み、知識を定着させるようにしましょう。

以下でおすすめの参考書をご紹介します!
各章の題名に記載の参考書名から購入サイトに飛べるようになっています。

基本情報技術者 合格教本(基本情報技術者試験)

特徴①:新制度試験に対応

最新のシラバスVer.8.0を網羅した内容となっています。
試験範囲を体系的に学習することができるのでおすすめです!
筆者も受験時に購入していた参考書で、図解を使用したわかりやすい説明、過去問からの例題や出題分析もされており、非常に役立ちました。

特徴②:問題演習Webアプリ付き

読者特典としてスマホやPCから「問題演習アプリ」を利用できます。
20回分の過去問が収録されており、間違えた問題や分野を指定しての問題を解くことができるので苦手を潰しながら対策を行うことができます。
スマホから使用できるので移動中の隙間時間でも学習することができます。
なかなか勉強時間が取れない社会人の方にとっては理想的な機能と言えると思います。

口コミ・評価

実際の読者の口コミをご紹介します!
「カラー刷りで図解も多く初心者でも読み進めていくことができる」や「知識の強化と弱点の補強に取り組める構成」とあり、参考書の内容に充実感を持つ読者が多いようです。
「過去問アプリと連動で効果は高くなる」との口コミもあり、問題演習Webアプリも評価されています。
Amazonの評価では4.5/5.0となっており、全体的な満足度も高くなっています。

アウトプット(過去問を解きまくる)

必要な知識が身に付いたらアウトプットすることでより理解を深めましょう。
基本情報技術者試験は2023年度からCBT方式に変更されたこともあり、新方式での過去問はありません。
ただ、方式が変更になったとはいえ、問われること自体は旧方式と大きくは変わらないため、新方式に該当する部分の過去問を解くことで対策しましょう。

新方式のサンプル問題と旧方式の年度ごとの過去問がこちらのサイトに掲載されています。
新方式の科目Aは旧方式の午前問題とほぼ同じ内容なので午前問題を解いて対策しましょう。
新方式の科目Bは旧方式の午後問題の問1、問8に対応しています。旧方式だと文章題で出題されているので若干難易度は高いですが、これが解ければ新方式も間違いなく解けます!

旧方式の最低5年分の過去問題と新方式のサンプル問題を解いて対策するようにしましょう。

筆者が受験した頃は旧方式でしたが、10年分の問題を解いてコンスタントに80%を取れるようになってから試験に臨みました。

基本情報技術者の申込方法

基本情報技術者試験の受験申込ページから試験日を予約しましょう。

アカウント発行後、受験申込が可能になります。
全国のテストセンターで受験できるので都合の良い日時で予約しましょう。
※ここで作成したアカウントは応用情報技術者や他の高度情報技術者の受験申込でも使用できるアカウントとなります。

受験の際には有効期限内の顔写真付き本人確認書類が必要となるので忘れずに持参しましょう。

まとめ

・基本情報技術者ってどんな資格なの?
IPA(情報処理推進機構)が主催する情報処理技術者試験の一つでITエンジニアとして必須の知識・技能が身に付きます。難易度は中程度で新米エンジニアやITパスポートの次に取得する資格を探している方におすすめです!

・基本情報技術者に合格するにはどんな勉強法があるの?
→勉強法には「独学」と「学校に通う」の2パターンありますが、独学で勉強することをおすすめします。
インプットとして参考書を読み込み、アウトプットで過去問を解きまくりましょう!

・合格した人はどんな勉強をしていたの?
→筆者はこちらの参考書で学習した後に過去問道場で最新の10年分の過去問を解きました。

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