- AWS DevOps Professional 勉強方法で迷っているあなたへ
- 著者のプロフィールと受験時の状況
- AWS DevOps Engineer Professional(DOP-C02)の基本情報
- 前提スキル別:必要な勉強時間の目安
- 勉強の全体戦略:3フェーズで考える
- フェーズ1:公式情報から「ゴールの全体像」をつかむ
- フェーズ2:ドメイン別に重点サービスを攻略する
- フェーズ3:問題集と模試でアウトプットを固める
- 実例付き:勉強スケジュール(1〜3 か月プラン)
- 合格体験記:大手SIerインフラエンジニアが DOP-C02 を受けてみて
- 実務に活かすための「+α」の勉強ネタ
- まとめ:AWS DevOps Engineer Professional 勉強方法チェックリスト
- おわりに
AWS DevOps Professional 勉強方法で迷っているあなたへ
「AWS DevOps Engineer Professional 勉強方法」で検索してこのページにたどり着いた方は、きっとこんな不安を抱えているのではないでしょうか。
- SAA や SAP までは取ったけれど、DevOps Professional(DOP-C02)は難しそうで踏み出せない
- 現場では CI/CD や IaC を触っているものの、試験範囲を体系的にカバーできている自信がない
- Udemy や問題集が多すぎて、どれから手をつければいいのか分からない
- インフラ担当で開発経験が浅く、「DevOps エンジニア」と名乗れるほどのスキルがあるのか不安
この記事では、こうした不安を一つずつ解消できるように、
- 公式試験ガイドや認定ページをベースに、DOP-C02 の中身と出題ドメインを整理し
- 日本語の合格体験記や海外の Study Path 記事で紹介されている定番教材と学習手順をまとめつつ
- 私自身の合格体験をもとに、1〜3か月での学習スケジュール例を具体的に共有し
- 実務にも活かせるよう、CI/CD・IaC・監視/ログ・マルチアカウント・セキュリティ自動化といったキーワードを軸に勉強の優先度を整理
していきます。
読み終わるころには、
「自分の今のスキルセットなら、このスケジュールで DOP-C02 に挑戦できそうだ」
と、かなり具体的なイメージが持てるはずです。
著者のプロフィールと受験時の状況
まずは勉強方法の「前提条件」として筆者のプロフィールを共有しておきます。
- 職種:大手SIer勤務 インフラ/クラウドエンジニア(2021年新卒入社)
- クラウド経験:オンプレ案件がメインだった時期も長いが、ここ数年は AWS 案件も継続的に担当
- 取得済み資格:
- AWS Cloud Practitioner
- AWS Solutions Architect – Associate / Professional
- AWS AI Practitioner
- AWS Developer Associate
- AWS CloudOps Engineer Associate
- AWS Data Engineer Associate
- AWS Machine Learning Engineer Associate
- AWS Security Specialty
- AWS Advanced Networking Specialty
- AWS Machine Learning Specialty
- 勉強に使えた時間:平日 1〜1.5 時間、週末 3〜4 時間前後
すでに他の上位資格を複数持っていることもあり、完全ゼロから DevOps を学んだわけではありません。一方で、現場ではオンプレ中心の時期も長く、CI/CD・IaC・コンテナは「触ったことはあるけれど、ガチガチの DevOps エンジニアというほどでもない」状態からのスタートでした。
この前提のもと、学習期間は約 2 か月/総学習時間は 80〜90 時間弱で DOP-C02 に合格しています。この記事で紹介する勉強時間の目安は、この経験と、日本語ブログや海外 Study Guide で紹介されている勉強量を合わせて調整したものです。
AWS DevOps Engineer Professional(DOP-C02)の基本情報
試験の位置づけと対象者
AWS Certified DevOps Engineer – Professional(DOP-C02) は、AWS 認定の中でも プロフェッショナルレベル に位置づけられた試験です。公式には次のようなスキルを検証する試験とされています。
- 分散システムとサービスのプロビジョニング/運用/管理
- 継続的デリバリー(CD)システムとその配信方法の実装・管理
- セキュリティコントロール/ガバナンス/コンプライアンス検証の自動化
- モニタリング・メトリクス・ロギングの定義とデプロイ
- 高可用・スケーラブル・自己修復なシステムの実装
- 運用プロセスを自動化するツールの設計・管理・保守
受験者には、以下が推奨されています。
- AWS 環境のプロビジョン/運用/管理で 2 年以上の実務経験
- ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)と、プログラミング or スクリプトの実務経験
- 高度に自動化されたインフラ構築・OS 管理・モダンな開発/運用プロセスの経験
- AWS インフラのセキュリティ確保に関する実践的な知識
「インフラ寄りエンジニアだけど、開発チームと一緒に CI/CD や IaC を整備している」「クラウドセンターオブエクセレンスでマルチアカウント/ガバナンスを見ている」といった人が、まさにターゲットのイメージです。
試験形式・時間・料金
公式サイトおよび試験ガイドの情報を整理すると、DOP-C02 は次の仕様です。
- 試験コード:DOP-C02
- 問題数:
- 採点対象 65 問
- 採点対象外 10 問(どれかは表示されない)
- 問題形式:
- 単一選択(4択で 1 つ正解)
- 複数選択(5 つ以上の選択肢から複数正解)
- 試験時間:180 分
- スコア範囲:100〜1000 点
- 合格ライン:750 点
- 受験料:300 USD
- 受験方法:ピアソン VUE テストセンター or オンライン監督試験
- 提供言語:日本語・英語・韓国語・簡体字中国語 など
CLF などと比べると問題数はほぼ変わらないのに試験時間が長く、1問あたりの分量もかなり重くなります。長文シナリオ問題が多く、「アーキテクチャ+運用+自動化+セキュリティ」を一気に判断させる問題が目立つのが特徴です。
出題ドメインと配点
試験ガイドによると、DOP-C02 の出題ドメインと配点は以下の通りです。
- SDLC のオートメーション – 22%
- 設定管理と IaC – 17%
- 耐障害性の高いクラウドソリューション – 15%
- モニタリングとロギング – 15%
- インシデントとイベントへの対応 – 14%
- セキュリティとコンプライアンス – 17%
合否はあくまで試験全体スコアで判定され、ドメインごとの合格ラインはなしです。ただし、比重が大きい ① SDLC オートメーション・② 設定管理と IaC・⑥ セキュリティ/コンプライアンスは、明らかに重点領域として扱われています。
前提スキル別:必要な勉強時間の目安
DOP-C02 は完全初心者がいきなり受ける試験ではありません。SAA/SAP・SOA/DVA あたりでアーキテクチャや基本サービスを押さえたうえで、「さらに DevOps の自動化・運用を極めたい人」向けの位置づけです。
あくまで目安ですが、次のように考えるとイメージしやすいです。
ケースA:SAA/SAP 取得済み+実務で CI/CD を日常的に触っている
- 例:プラットフォームチームで CodePipeline/GitHub Actions/CloudFormation を運用している
- 目安勉強時間:40〜60 時間
- 期間イメージ:1 日 1.5〜2 時間 × 1〜1.5 か月
ケースB:SAA 合格レベルだが、CI/CD・IaC は部分的にしか触っていない(多くのインフラエンジニア)
- 例:オンプレ経験が長く、最近 AWS で EC2/RDS を構築し始めた
- 目安勉強時間:70〜90 時間
- 期間イメージ:1 日 1〜1.5 時間+週末 3 時間 × 2 か月
ケースC:SAA は持っているが、開発経験がほぼない・スクリプトが苦手
- 目安勉強時間:100〜130 時間
- 期間イメージ:2〜3 か月(のんびり目にやる)
この記事で紹介する「AWS DevOps Engineer Professional 勉強方法」は、主に ケースB(インフラ寄りエンジニアで、CI/CD や IaC に多少触れたことがある方)を想定しつつ、ケースA/C でも応用できるように書いていきます。
勉強の全体戦略:3フェーズで考える
DOP-C02 の範囲は広く、いきなり問題集から始めると「知らないサービスだらけで心が折れる」という声が多いです。
おすすめは、学習を次の 3 フェーズに分けることです。
- フェーズ1:試験ガイドと公式コンテンツで全体像をつかむ
- フェーズ2:ドメイン別にサービスとアーキテクチャを整理(ハンズオン中心)
- フェーズ3:問題集と模試でアウトプットを固める
それぞれ、もう少し詳しく見ていきます。
フェーズ1:公式情報から「ゴールの全体像」をつかむ
試験ガイドとサンプル問題を最初に読む
ほぼすべての合格体験記で共通しているのが、
「まず試験ガイドとサンプル問題を読み、出題範囲とキーワードを把握する」
というステップです。
やることはシンプルで、
- 試験ガイド(PDF)を 1 回通読し、知らないサービス名・用語にマーカーを引く
- サンプル問題 PDF と Skill Builder の Practice Question Set を解き、「どのドメインで自信がないか」をざっくり把握する
特に DOP-C02 の試験ガイドは、ドメインごとに
- 対象知識(例:SDLC の概念、各種デプロイ戦略、IaC ツールの比較…)
- 対象スキル(例:CodePipeline と CodeBuild を組み合わせたパイプライン構築、CloudFormation StackSets の適用…)
がかなり丁寧に列挙されており、そのまま「学習チェックリスト」として使えるレベルの情報量があります。
AWS Skill Builder の公式コースを使う
AWS Skill Builder の以下のコースに目を通しておくと、全体像をつかみやすくなります。
- Exam Prep Plan: AWS Certified DevOps Engineer – Professional (DOP-C02)
- Official Practice Question Set (DOP-C02 – 日本語)
- CI/CD や CloudFormation に関する中級〜上級コース
ここでは、完璧に理解しようとしないことがポイントです。「DOP-C02 では、こういう観点を問われるのか」と雰囲気を掴めば十分で、細かい選択肢の違いはフェーズ2・3 で補っていきます。
フェーズ2:ドメイン別に重点サービスを攻略する
ここが DOP-C02 対策の メインディッシュです。Udemy や書籍、実機ハンズオンを組み合わせて、各ドメインごとに「よく出るサービス」と「押さえるべき設計パターン」を整理していきます。
SDLC のオートメーション(22%):CI/CD とデプロイ戦略を徹底的に
重点サービス・技術
- AWS CodeCommit / GitHub 連携
- AWS CodeBuild / CodePipeline / CodeDeploy
- AWS CodeArtifact / ECR / EC2 Image Builder
- Lambda / ECS / EKS / Fargate を使ったデプロイ戦略(Blue/Green, Canary など)
- 自動テスト統合(単体・統合・負荷テストなど)
有料にはなりますが、Skill Builderで「Lab 1: AWS Certified DevOps Engineer – Professional (DOP-C02 – 日本語)」、「Lab 2: AWS Certified DevOps Engineer – Professional (DOP-C02 – 日本語)」といったLabコースが提供されており、これらのサービスを実際のパイプライン構築を通じて網羅的に解説してくれるため、かなりコスパが高いです。
学習のポイント
- 1 本、自分で CodePipeline を組む
- ソース:CodeCommit or GitHub
- ビルド:CodeBuild(ユニットテスト含む)
- デプロイ:EC2 or ECS への Blue/Green デプロイ
- パイプラインのトリガーとイベント連携
- Git プッシュをトリガーにパイプラインを起動
- CloudWatch Events / EventBridge 経由で通知や2次処理
- 複数 AWS アカウント/複数リージョンへのデプロイ
- クロスアカウントロールや Artifact の受け渡しパターン
サンプル問題 PDF でも、「Lambda の新バージョンを限定的なユーザにだけテストする」「Blue/Green でローリングアップデートする」といった問題が頻出です。単に用語を暗記するのではなく、それぞれの戦略がどんなビジネス要件・リスクにフィットするかまで意識しておくと、選択肢の絞り込みがかなり楽になります。
設定管理と IaC(17%):CloudFormation/CDK とマルチアカウント
重点サービス
- AWS CloudFormation / CDK / SAM
- AWS Systems Manager(Automation, State Manager, Parameter Store, Patch Manager など)
- AWS Config / AppConfig / OpsWorks
- AWS Organizations / Control Tower / Service Catalog
DOP-C02 では、「IaC を前提としたマルチアカウント/マルチリージョン管理」がかなり重要視されています。試験ガイドでも、CloudFormation StackSets や Control Tower・Organizations・SCP などのキーワードが頻出です。
学習のポイント
- シンプルな VPC + EC2 + RDS 構成を CloudFormation でテンプレート化
- 可能なら CDK 版も作り、YAML とコードベース IaC の違いを体感
- StackSets を用いたマルチアカウント展開の仕組みを理解
- Systems Manager での パッチ管理・インベントリ・Run Command の基本操作
- AWS Config ルールや Security Hub を利用したガバナンス自動化のストーリーを描けるようにする
Udemy や Tutorials Dojo の Study Path では、「IaC + Config + Organizations + Control Tower」の組み合わせを押さえることが DOP-C02 合格の鍵だと繰り返し強調されています。
耐障害性の高いクラウドソリューション(15%):HA と DR を DevOps 目線で
このドメインは「SAP っぽい」内容も多いのですが、DOP では運用自動化・フェイルオーバー手順の検証まで踏み込んで問われます。
- マルチ AZ/マルチリージョン構成(EC2, RDS/Aurora, DynamoDB, S3, CloudFront, Route 53)
- RTO/RPO を満たす DR 戦略(パイロットライト、ウォームスタンバイなど)
- AWS Backup や Systems Manager を使った自動バックアップとリストア
ここでは、「SAP で学んだ高可用アーキテクチャを、どこまで自動化したか」を意識すると整理しやすくなります。
モニタリングとロギング(15%):CloudWatch 周りを深堀り
- CloudWatch メトリクス・ログ・メトリクスフィルタ・ログルール
- CloudWatch Logs Insights / メトリクスストリーム
- CloudWatch Alarms(特に異常検知)と EventBridge 連携
- X-Ray / OpenSearch Service / Kinesis Firehose とログの分析パターン
- CloudTrail / Config / Inspector / Security Hub との組み合わせ
このあたりは、CloudOps Engineer Associate や Security Specialty で学んだ内容とかなり重なるので、既取得の方は復習感覚で進められます。ログの保存ポリシーや KMS での暗号化まで押さえておくと、セキュリティドメインともシナジーが出ます。
インシデントとイベントへの対応(14%)
- アラート設計(どのメトリクスをどの閾値で監視するか)
- Runbook/Playbook の自動化(Systems Manager Automation, Step Functions 等)
- ロールバック戦略・障害時のトリアージ
- EventBridge を用いたイベント駆動オートメーション
問題文では、「深夜に特定リージョンで障害が起きた場合に、どう自動復旧させるか」といったシナリオがよく出てきます。「CloudWatch Alarm → EventBridge → Lambda or SSM Automation → Slack 通知」のような一連の流れを頭に描けるようにしておくと安心です。
セキュリティとコンプライアンス(17%)
Security Specialty ほどの深度はないものの、DOP でも以下のようなトピックは高頻度で出題されます。
- IAM ロール・ポリシー設計(特にクロスアカウント)
- シークレットの管理(Secrets Manager/SSM Parameter Store)
- Config/Security Hub/Amazon Inspector/GuardDuty を中心とした継続的コンプライアンス
- CloudTrail ログの集中管理と改ざん耐性
- KMS を利用した暗号化・鍵管理
DevOps Engineer としては、「セキュリティ運用を IaC やパイプラインに組み込み、自動検出・自動修復まで持っていけるか」が問われるイメージで勉強を進めると良いです。
フェーズ3:問題集と模試でアウトプットを固める
サンプル問題と Skill Builder
- AWS Certified DevOps Engineer – Professional Sample Questions(PDF)
- Skill Builder の Official Practice Question Set(日本語)
これらは、本番の出題傾向を知るうえで必須レベルです。解いたあとは必ず解説を読み、
- どのドメインのどのタスクステートメントに対応しているか
- 自分が間違えた理由は何か(サービス知識不足?要件の読み違い?)
をノート化しておくと、フェーズ2の復習にもつながります。
Udemy・TechStockなどの問題集
公式以外の問題集でいうと以下がおすすめです。
Udemyの模擬問題集は筆者も購入して勉強しましたが、良問が揃っていました!
- Udemy:
- 日本語問題集サイト(Cloud License など)
これらを 2〜3 周すると、問題形式のクセや、よく出るパターンがかなり見えてきます。
学習の進捗を測る「合格ライン」の目安
経験的には、
- Udemy や Cloud Licenseの模試で 70〜75% を安定して超える
- 公式 Practice Question Set で 体感 7 割以上は確実に取れている
状態になれば、本番でも合格ライン(750 点)には十分届く感覚でした。もちろん問題集によって難易度は異なりますが、「どの教材でも 7 割を切らない」くらいになったタイミングを受験目安にすると良いと思います。
実例付き:勉強スケジュール(1〜3 か月プラン)
2か月標準プラン(実際に私が取ったパターン)
前提:平日 1〜1.5 時間、週末 3〜4 時間
Week1–2:フェーズ1+軽いハンズオン(計 10〜12 時間)
- 試験ガイドを通読し、知らないサービスにマーカー
- 公式サンプル問題&Practice Question Set を 1 周
- Skill Builder の Exam Prep コースを 1 回倍速視聴
- 触ったことのないサービス(CodeArtifact, Control Tower など)は、ドキュメントをざっと読む
Week3–5:フェーズ2(計 30〜35 時間)
- Udemy のハンズオンコースを 1.5〜2 倍速で完走
- 重点ドメインごとに、以下をノート化
- 「どのサービスがどの要件にマッチするか」
- Blue/Green, Canary, Rolling のメリット・デメリット
- CloudFormation/CDK のサンプルテンプレート
- 業務で使っている CI/CD や IaC の設定を見直し、
- 「試験ガイドが想定しているベストプラクティスと比べてどうか」
を考える
- 「試験ガイドが想定しているベストプラクティスと比べてどうか」
Week6–7:フェーズ3(計 25〜30 時間)
- Udemy 模試 × 4〜5 セットを 2 周
- Tutorials Dojo の Practice Exam を 1〜2 セット
- 公式 Practice Question Set をもう 1 周
- 間違えた問題をドメイン別にタグ付けし、
- 設定管理/IaC
- セキュリティ
- マルチアカウント/ガバナンス
の順に潰していく
Week8:総復習&直前調整(計 5〜8 時間)
- ノートとマインドマップを見ながら、
- 「SDLC オートメーション」から「セキュリティとコンプライアンス」まで、
各ドメインを自力で 5 分以内に説明できるか確認
- 「SDLC オートメーション」から「セキュリティとコンプライアンス」まで、
- 弱いドメインの問題だけもう一度解き直し
- 2〜3 日前からは、睡眠時間の確保とコンディション調整を優先
1か月集中プラン(実務で DevOps ど真ん中の人向け)
- Week1:試験ガイド+公式問題+Skill Builder(10h)
- Week2:Udemy ハンズオン+ IaC/監視サービスの復習(15〜20h)
- Week3:Udemy 模試(15〜20h)
- Week4:弱点潰し+軽いハンズオン再確認(10h)
実務で「毎日 CodePipeline と CloudFormation をいじっている」ような方なら、40〜50 時間でも十分に合格圏に届きます。
3か月じっくりプラン(開発経験が少ないインフラ寄りの方)
- 1か月目:
- Linux/Git/シェルスクリプトなどの基礎復習
- CI/CD・DevOps の概念を書籍やブログでインプット
- 2か月目:
- フェーズ2(サービス理解+ハンズオン)
- 3か月目:
- フェーズ3(問題演習+復習)
「開発はほぼ未経験」という方でも、DevOps の文脈で必要なのは「パイプラインや IaC を理解して読めるレベル」です。いきなり複雑なアプリを実装する必要はないので、Bash や Python で簡単なスクリプトを書き、CodeBuild の buildspec を読めるようになることを目標にすると良いと思います。
合格体験記:大手SIerインフラエンジニアが DOP-C02 を受けてみて
ここからは、筆者自身の合格体験を少し詳しめに書いてみます。
なぜ DevOps Professional を受けようと思ったか
きっかけは、会社の中で
「オンプレから AWS への移行だけではなく、CI/CD や IaC の仕組みまで含めて “運用を近代化” してほしい」
という期待が高まってきたことでした。
SAA・SAP でアーキテクチャの設計はそれなりにできるようになっていたものの、パイプラインやマルチアカウント運用を体系的に学ぶ機会はあまりなく、「現場のプラクティスが本当にベストなのか?」というモヤモヤがありました。
そんな中、AWS 認定の全体像を眺めていて、
- 「DevOps Engineer – Professional」が、まさに自分が強化したい領域そのもの
- しかも、Security や Advanced Networking とも親和性が高い
と気づき、「どうせなら上位資格まで一気に揃えてしまおう」という軽いノリで受験を決めました。
最初の壁:知らないサービス名の多さ
試験ガイドを初めて読んだときの正直な感想は、
「聞いたことはあるけど触ったことがないサービスが多すぎる……」
でした。
特に、
- CodeArtifact
- Control Tower
- AppConfig
- Security Hub
- Detective
あたりは、名前だけ知っていて実務ではほぼノータッチ。最初は不安になりましたが、日本語の合格記を読み漁っていくうちに、
「全部を完璧にハンズオンする必要はなく、試験で問われるのは主に“役割と代表的なユースケース”だ」
と分かってきて、だいぶ気持ちが楽になりました。
Skill BuilderのLabハンズオンで「DevOps の全体像」がつながった瞬間
今回一番役立ったのは、やはり Skill BuilderのLabハンズオンコースです。動画に沿ってパイプラインを構築していく中で、
- Source(CodeCommit or GitHub)
- Build(CodeBuild)
- Test(各種自動テスト)
- Deploy(CodeDeploy / ECS / Lambda)
- Monitor & Feedback(CloudWatch / X-Ray / CloudTrail)
という一連の流れが、「1 本のストーリー」として頭の中につながった感覚がありました。
特に印象的だったのが、
- Blue/Green デプロイ+自動ロールバック
- CodePipeline から CloudFormation StackSets を叩いて、マルチアカウントにデプロイ
- CodeBuild のビルドログを CloudWatch Logs に飛ばし、失敗時に SNS 通知
など、現場でもそのまま使えそうな構成がたくさん登場したことです。試験対策で作ったパイプラインを、後日社内のプロジェクトに応用できたのは、資格勉強としてはかなりお得感がありました。
模試で何度も落とされたポイント
問題集を解き始めて最初に感じたのは、
「とにかくマルチアカウント・マルチリージョンの設計パターンが多い」
ということでした。
- ログアーカイブ用アカウント+セキュリティアカウント
- Organizations と SCP を使ったガバナンス
- Control Tower でのランディングゾーン構築
など、単一アカウント前提の SAP とは少し違う文脈で問われる問題に何度も引っかかりました。
最終的には、
- 自分なりの「理想的なマルチアカウント構成図」を 1 枚描く
- 各アカウントで何をホストし、どのログをどこに集約し、どのようなパイプラインで配布するか
- そのうえで、Organizations/Control Tower/Config/Security Hub/GuardDuty をどこに配置するか
を紙に書き出して整理したことで、だいぶスッキリしました。
試験当日の感触とスコア
日本語版で受験しましたが、問題文はかなり長めです。最初の 10 問くらいはペースを掴めず焦りましたが、
- 「要件(RTO/RPO・SLA・コンプライアンス)」
- 「制約(コスト・既存システム・利用できないサービス)」
- 「求められているのが運用なのか、設計なのか、セキュリティなのか」
を意識して読み進めるようにしてからは、徐々に落ち着いて解けるようになりました。
結果としては、スケールスコア 820 点で合格。得点レポートでは
- SDLC オートメーション/設定管理&IaC/モニタリング&ロギング:Strong
- インシデント対応:Borderline
- セキュリティ&コンプライアンス:Above Average
と出ており、やはり 運用系シナリオ(障害対応周り)が最後まで難しく感じたというのが正直なところです。
実務に活かすための「+α」の勉強ネタ
試験合格だけで終わらせず、現場で DevOps の価値を発揮するために、個人的にやって良かったことを最後にいくつか挙げておきます。
- 社内の既存パイプラインを 1 本リファクタリングする
- たとえば、手動デプロイを CodePipeline 化する、CloudWatch Logs とメトリクスを整理するなど
- AWS Well-Architected Tool で、既存システムを評価してみる
- 「運用の優秀性」「信頼性」「セキュリティ」の観点で、どこが弱いか棚卸しできる
- ChatOps の導入を検討する
- EventBridge → Lambda → Slack でインシデント通知を自動化
- Security Hub/Config ルールを IaC 化して、再利用可能なテンプレートにする
- 新規アカウント作成時の「セキュリティ初期セットアップ」を自動化
これらはすべて、DOP-C02 の試験ガイドに書かれているタスクステートメントと直結しており、「試験で問われるスキルを、そのまま現場で価値に変える」ことにつながります。
まとめ:AWS DevOps Engineer Professional 勉強方法チェックリスト
最後に、この記事の内容をざっくり振り返れるよう、「DOP-C02 合格に向けたチェックリスト」をまとめます。
- 試験ガイド(日本語版)を 1 回通読し、知らないサービスにマーカーを付けたか?
- サンプル問題 PDF と Skill Builder の Practice Question Set を 1 周以上解いたか?
- Skill Builder のLabハンズオンコースで、CodePipeline+CodeBuild+CodeDeploy を組み上げた経験があるか?
- CloudFormation/CDK/Systems Manager/Config/Organizations/Control Tower など、マルチアカウント IaC/ガバナンス系サービスの役割を説明できるか?
- CloudWatch/CloudTrail/X-Ray/Security Hub/GuardDuty などを使った監視・ログ・セキュリティ運用の全体像を語れるか?
- Udemyの模試で、70〜75% 以上を安定して取れているか?
- 合格後にどのように現場へ還元するか、自分なりの「DevOps ロードマップ」を描いているか?
ここまでできていれば、DOP-C02 は間違いなく射程圏内です。
おわりに
AWS DevOps Engineer Professional は、単なる「資格コレクション」の 1 つではなく、
- クラウド運用の自動化レベルを一段引き上げたい人
- マルチアカウント・セキュリティ・CI/CD を横串で設計できるエンジニアを目指す人
にとって、非常に良い通過点だと感じています。
もし今、
「SAP や Security までは取ったけれど、その先のキャリアのイメージがぼんやりしている」
と感じているのであれば、ぜひ 「AWS DevOps Engineer Professional 勉強方法」というテーマで自分なりのロードマップを描き、この記事のプランをベースに一歩踏み出してみてください。
きっと 2〜3 か月後には、
「運用も IaC もセキュリティも含めて、システム全体を見渡せるエンジニア」として、今とは一段違う景色が見えているはずです。
