AWS Advanced Networking Specialty 勉強方法 完全ロードマップ

AWS Advanced Networking Specialty 勉強方法 完全ロードマップ 新着記事

AWS Advanced Networking Specialty 勉強方法 完全ロードマップ

こんにちは。大手SIerでインフラ/クラウドエンジニアをしている筆者です。
これまでに AWS クラウドプラクティショナー、SAA、SAP、Developer アソシエイト、CloudOps、Data Engineer、Machine Learning Engineer、Security Specialty などひと通り取得してきましたが、その中でも 「一番ネットワーク脳をフル回転させられた試験」 が AWS Advanced Networking – Specialty(ANS)でした。

しかもこの試験、AWS全冠を目指す人たちの間では「最難関候補」と呼ばれることもあるくらい、なかなかハードル高めの存在です。

一方で、きちんと「試験の土俵」に自分の勉強を合わせれば、
平日1〜1.5時間+週末3〜4時間という現実的な時間でも、社会人が合格を狙える試験でもあります。

この記事では、

  • 公式の試験ガイドや認定ページの情報をベースに試験の中身を整理しつつ

  • SIerインフラ/クラウドエンジニアとしての 実体験ベースの勉強ステップ を具体的に共有し

  • 書籍・オンライン教材・ハンズオン・問題集の 組み合わせ方 まで踏み込んで解説します

読み終わる頃には、

「自分の前提なら、これくらいの時間で、こういう順番でやれば合格が見えるな」

というところまでイメージできるようになるはずです。


  1. AWS Advanced Networking Specialty の基本情報整理
    1. 1-1. 試験の位置づけと対象者
    2. 1-2. 試験形式・時間・料金など
    3. 1-3. 出題ドメイン構成
  2. 他のAWS資格と比べた難易度・特徴
    1. 2-1. 「最難関候補」と言われる理由
    2. 2-2. 他資格との比較感
  3. 合格までの勉強時間の目安
    1. 3-1. 前提別ざっくり目安
    2. 3-2. 筆者の実際の学習時間
  4. 筆者プロフィールとリアルな合格体験記
    1. 4-1. プロフィール
    2. 4-2. なぜ ANS を受けようと思ったか
    3. 4-3. 実際に使った主な教材
    4. 4-4. 一番つらかったところ(正直な話)
  5. 勉強の全体戦略:3フェーズで考える
    1. フェーズ1:試験ガイド+Skill Builderで全体像をつかむ
    2. フェーズ2:書籍+公式ドキュメントで深掘りする
    3. フェーズ3:問題演習・模試で仕上げる
  6. ドメイン別:具体的な勉強ポイントとコツ
    1. 6-1. ドメイン1:ネットワーク設計(30%)
    2. 6-2. ドメイン2:ネットワーク実装(26%)
    3. 6-3. ドメイン3:ネットワークの管理と運用(20%)
    4. 6-4. ドメイン4:ネットワークのセキュリティ・コンプライアンス・ガバナンス(24%)
  7. 頻出サービスの「優先度マップ」
    1. 7-1. 最優先(Sランク)
    2. 7-2. 重要(Aランク)
    3. 7-3. 押さえておきたい(Bランク)
  8. ハンズオンプラン:最小構成で「手を動かす」
    1. 8-1. ハンズオン1:マルチVPC構成(TGW vs VPCピアリング)
    2. 8-2. ハンズオン2:簡易ハイブリッド構成(VPN)
  9. 2〜3か月で合格を狙う学習スケジュール例
    1. 9-1. 1週目:試験ガイド+Skill Builderで全体像把握
    2. 9-2. 2〜4週目:書籍でドメイン別に理解を固める
    3. 9-3. 5〜7週目:問題集&ハンズオン
    4. 9-4. 8〜10週目:模試&弱点つぶし
  10. 合格体験から見えた「落とし穴」と回避策
    1. 10-1. 「業務で使っているから大丈夫」は危険
    2. 10-2. Direct Connect を後回しにしがち問題
    3. 10-3. コスト・運用要件の読み飛ばし
  11. 試験当日の戦い方と時間配分
    1. 11-1. 自分が意識していたこと
    2. 11-2. 心理的な話
  12. まとめ:最短・最小のストレスで合格するためのチェックリスト
    1. チェックリスト
  13. おわりに:ANS合格の先に見えるもの

AWS Advanced Networking Specialty の基本情報整理

まずは公式情報から、試験そのものをざっくり押さえます。ここがふわっとしていると、勉強の軸がブレてしまうので、最初に固めておきましょう。

1-1. 試験の位置づけと対象者

AWS Certified Advanced Networking – Specialty(試験コード:ANS-C01) は、AWS認定の中でも「ネットワーク領域の専門資格」に位置づけられています。

公式ページでは、ざっくり以下のような人が対象とされています。

  • ネットワーク経験:5年以上

  • クラウド/ハイブリッドネットワーク経験:2年以上

  • 役割としては、シニア寄りの技術職(インフラ/ネットワークエンジニア、クラウドアーキテクトなど)

また、事前に以下のような資格を1つ以上持っていると望ましい、とされています。

  • アソシエイト(SAA / DVA / SOA など)

  • プロフェッショナル(SAP / DOP など)

要するに、

「AWSの基礎・設計はすでに分かっていて、そのうえでネットワークを深くやりたい人向けの試験」

というイメージです。

1-2. 試験形式・時間・料金など

公式ページと試験ガイドを整理すると、ANS-C01 は以下のような仕様です。

  • レベル:専門知識(Specialty)

  • 問題数:65問(単一選択/複数選択)

  • 試験時間:170分

  • 形式:ピアソンVUEテストセンター or オンライン監督付き

  • 受験料金:300 USD

  • 提供言語:日本語・英語・韓国語・中国語(簡体字)

また、試験ガイドには以下のような記載があります。

  • 採点対象の設問:50問

  • 採点対象外(将来のためのテスト問題):15問

  • 未回答は不正解扱い。推測回答にペナルティなし

つまり、

「悩んでもとりあえず選ぶ」
「難しそうに見える問題も、どれかは絶対選ぶ」

という姿勢が重要です。

1-3. 出題ドメイン構成

試験ガイドでは、ANS-C01 の出題は以下の4ドメインで構成されています。

  1. ネットワーク設計(Network Design):30%

  2. ネットワーク実装(Network Implementation):26%

  3. ネットワークの管理と運用(Network Management & Operation):20%

  4. ネットワークのセキュリティ・コンプライアンス・ガバナンス(Network Security, Compliance, Governance):24%

シンプルにいうと、

  • 設計と実装で 半分以上

  • 残り半分で 運用&セキュリティ

が問われる構成です。


他のAWS資格と比べた難易度・特徴

2-1. 「最難関候補」と言われる理由

いくつかの合格体験記やブログでも、ANS は「AWS認定の中でも難しめ」と評されることが多いです。

理由を分解すると、こんな感じです。

  • 長文シナリオが多い

    • 1問で1スクロール分くらいある問題文が普通に出る

    • 要件を整理してから選択肢を見る、という読み解き力が必須

  • ネットワーク前提知識がかなり要求される

    • BGP・ルーティング・CIDR・VPN・DNSなど、ベーシックなネットワーク知識は「分かっていて当たり前」という前提

  • AWS固有サービスの組み合わせ問題が多い

    • VPC、TGW、Direct Connect、Site-to-Site VPN、Route 53、Global Accelerator、Network Firewall、GWLB などを組み合わせた構成が頻繁に登場

ただし、これは裏を返せば、

「ネットワーク×AWSを体系的に整理してしまえば、かなり戦いやすい試験」

とも言えます。

2-2. 他資格との比較感

個人的な肌感としては(人の感覚にもよりますが…):

  • SAA → SAP で設計力を鍛えられ

  • Security / CloudOps / Data / ML Specialty でそれぞれの専門領域を学んだあとでも

  • ANS は “ネットワークという縦の深さ” のおかげで別ベクトルの難しさ

という感じでした。


合格までの勉強時間の目安

3-1. 前提別ざっくり目安

他の合格体験記を見ると、学習時間はおおよそ 40〜100時間前後 に分布しています。

前提別にかなり差が出るので、ざっくり分けるとこんなイメージです。

① ネットワークもAWSもそこそこ経験あり

  • 例:インフラエンジニア歴5年以上/オンプレNW経験+AWS業務経験2年以上

  • 目安:40〜60時間

  • 期間イメージ:

    • 平日1〜1.5時間+週末3〜4時間 → 約1.5〜2か月

② AWSは得意だが、ネットワークはそこまで深くない

  • 例:SAA/SAPは得意、ただしネットワーク設計は担当外が多かった

  • 目安:60〜90時間

    • ネットワーク基礎の復習+AWS固有サービスの深掘りが必要

  • 期間イメージ:

    • 同じく平日1〜1.5時間+週末3〜4時間 → 約2〜3か月

③ AWSもネットワークもまだ自信がない

  • 正直、いきなりANSはおすすめしません…。
    まずは SAA/SAPや、Security・CloudOps などを先に取る のが良いと思います。

この記事は主に、②〜①の人を想定して書いています。

3-2. 筆者の実際の学習時間

  • 平日:1〜1.5時間(仕事後にカフェか自宅)

  • 週末:3〜4時間(午前の時間を勉強に固定)

  • 期間:約2.5か月

  • 合計学習時間:ざっくり 80〜90時間

「ネットワークは業務で触っているけど、Direct Connect や TGW をガッツリ設計した経験は少ない」という状態からのスタートでした。


筆者プロフィールとリアルな合格体験記

4-1. プロフィール

  • 職種:大手SIer勤務のインフラ/クラウドエンジニア(2021年新卒)

  • 経験:

    • オンプレのネットワーク/サーバ設計・運用が長め

    • ここ数年は AWS 案件も増えてきた

  • 取得済みAWS資格:

    • Cloud Practitioner, SAA, SAP

    • Developer Associate, CloudOps, Data Engineer, Machine Learning Engineer

    • Security Specialty など

  • 勉強時間:

    • 平日:1〜1.5時間

    • 週末:3〜4時間

「資格は取ってきたけど、ネットワーク専門家というほどではない」くらいのポジションです。

4-2. なぜ ANS を受けようと思ったか

  • ハイブリッド構成や Direct Connect が絡む案件のレビュー依頼が増えてきた

  • Transit Gateway や Global Accelerator など、名前は分かるけど腹落ちしていないサービス が増えてきた

  • 「AWSネットワークをちゃんと体系的に説明できる人」になりたかった

このあたりが主な理由でした。

4-3. 実際に使った主な教材

公式・準公式系:

書籍:

問題集:

ハンズオン・ドキュメント:

  • AWS公式ドキュメント(特に VPC、TGW、Direct Connect、Route 53、Network Firewall、GWLB 周り)

4-4. 一番つらかったところ(正直な話)

  • Direct Connect(DX)周り全般

    • 仮想インターフェイス(VIF)まわりの概念・パターンは実務で触れていないとイメージしづらい

  • Transit Gateway(TGW)と VPC ピアリングの使い分け

  • GWLB+サードパーティ製アプライアンス(FWなど)の構成パターン

  • 「コスト重視なのか、拡張性重視なのか」を読み取らないと正解が変わる問題

これらは、図を書きまくる+ドキュメントを“読む”のではなく“描き直す” ことでようやく腑に落ちました。


勉強の全体戦略:3フェーズで考える

いきなり問題集に突撃するのではなく、ANS の勉強は次の 3フェーズ で組み立てるのがおすすめです。

  1. フェーズ1:試験ガイドとSkill Builderで「土俵」を揃える

  2. フェーズ2:書籍+公式ドキュメントでサービスごとの理解を深掘り

  3. フェーズ3:問題演習・模試で「試験のクセ」に慣れる

順番に話します。


フェーズ1:試験ガイド+Skill Builderで全体像をつかむ

5-1-1. まずは試験ガイドを熟読する

最初の一歩は、AWS公式の 試験ガイドPDFをちゃんと読むこと です。

ここで見るべきポイントは、

  • 各ドメインごとの割合(30/26/20/24)

  • 「対象スキル(Domain別の bullet list)」に書かれている項目

  • 「推奨される前提知識」や「想定する受験者像」の記述

試験ガイドの 対象スキル一覧=チェックリスト だと思ってください。

「ここに書いてあることを自分の言葉で説明できるか?」

を基準に学習すると、無駄打ちが減ります。

5-1-2. AWS Skill Builder の学習プランを活用する

AWS公式の eラーニング「AWS Skill Builder」には、
Exam Prep Plan: AWS Certified Advanced Networking – Specialty(日本語) のような学習プランが公開されています。

構成としては、

  • 各ドメインをカバーするデジタルコース

  • ラボ(トラブルシューティング系)

  • 本番レベルの模擬問題

などがまとまっており、総学習時間はおおよそ14時間前後 とされています。

ここでは、以下を意識して進めました。

  • 動画やスライドを「1.25〜1.5倍速」でサクサク見る

  • 分からない用語や構成が出たら、メモに「?」を付けるだけにして先に進む

  • 1周目は 理解7割でOK。とにかく試験の世界観に慣れる


フェーズ2:書籍+公式ドキュメントで深掘りする

5-2-1. 日本語書籍で「骨格」を作る

次に、日本語のANS対策本を1冊決め打ち します。たとえば:

  • 要点整理から攻略する「AWS認定 高度なネットワーキング – 専門知識」(解説&問題がバランス良い)

書籍学習のポイントは、

  1. 1章ずつ、“サービス単位”で理解を固める

    • VPC、TGW、DX、VPN、Route 53、CloudFront、ALB/NLB/GWLB、Global Accelerator…

  2. 章末問題は必ず解き、間違えた問題には付箋を貼る

  3. 「よく分からない構成」は、そのままにせず 図に描き直す

5-2-2. 公式ドキュメントで補完する

書籍だけではカバーしきれない部分は、AWS公式ドキュメントで補完します。

特に 深掘り必須のドキュメント群 は以下のあたりです(日本語版があるものは日本語でOK):

  • VPC・サブネット・ルートテーブル・NACL・SG のベストプラクティス

  • AWS Transit Gateway(アタッチパターン、ルート分離、共有など)

  • AWS Direct Connect(物理接続、プライベートVIF/パブリックVIF、LAG など)

  • Site-to-Site VPN(ハイブリッド構成での冗長化パターン)

  • Amazon Route 53(プライベートホストゾーン、Resolver、条件付きフォワーダ)

  • AWS Global Accelerator・CloudFront・ALB/NLB/GWLB(L4/L7の違い、ユースケース)

  • AWS Network Firewall・AWS WAF・AWS Shield(どの層で何を守るか)

ここで意識したのは、

「サービスごとに、“何層のどの役割” なのかを言葉にする」

ことでした。


フェーズ3:問題演習・模試で仕上げる

5-3-1. 問題演習の役割

ANS の問題は、単なる用語暗記では解けません。

  • 「ハイブリッド構成でこの要件なら、DX+VPNのどの組み合わせが妥当か」

  • 「複数リージョン/複数アカウントで、最小コストかつ運用性の高いネットワークはどれか」

といった、シナリオベースの設計問題 が中心です。

そのため問題演習では、

  • 「なぜこの選択肢が正解で、他がダメなのか」

  • 「この設問が本当に聞きたいことは何か」

を掘り下げることが非常に重要です。

5-3-2. 具体的な問題演習リソース

代表的なものを挙げると:

使い方のコツは、

  1. 同じベンダーの問題を 2周以上 やる(1周目で間違えた問題を重点的に)

  2. スコアが70〜80%安定するまで粘る

  3. 「分からないまま丸暗記」は絶対にしない

    • 分からなければ試験ガイドや公式ドキュメントに戻る


ドメイン別:具体的な勉強ポイントとコツ

ここからは、試験ガイドの4ドメインに沿って、
「ここは絶対に落としたくない」という観点を整理していきます。

6-1. ドメイン1:ネットワーク設計(30%)

キーワード:アーキテクチャ/ハイブリッド/マルチアカウント/マルチリージョン

主に問われるのは、

  • オンプレ+AWSのハイブリッド設計(DX/VPNの組み合わせ)

  • マルチVPC/マルチアカウントの接続戦略(TGW vs VPCピアリング vs PrivateLink)

  • Global Accelerator/CloudFront/Route 53 を使ったグローバル設計

特に意識したいのは、

  1. Transit Gateway の設計パターン

    • セグメント分割

    • アタッチの種類(VPC/VPN/DX)

    • AWS Organizations や RAM(Resource Access Manager)との連携

  2. Direct Connect の設計

    • 単一DX vs LAG(Link Aggregation Group)

    • プライベートVIF/パブリックVIFの役割

    • 冗長化パターン(冗長DX、DX+VPNなど)

  3. 名前解決の設計

    • Route 53 Private Hosted Zone

    • Route 53 Resolver(インバウンド/アウトバウンドエンドポイント、フォワーダ)

勉強の仕方:

  • 書籍やBlack Beltの図を使って、自分なりの「典型構成パターン集」をノートにまとめる

  • 「要件 → 構成パターン」の矢印を意識する

    • 例:“オンプレDC2拠点+AWSマルチAZ+高可用性+専用線優先+コストも考慮” → DX+VPNバックアップ+TGW など

6-2. ドメイン2:ネットワーク実装(26%)

キーワード:ルーティング/セキュリティ境界/実機イメージ

ここでは、設計した構成を「どう実装するか?」が問われます。

代表的な論点は以下の通りです。

  • VPC・サブネットのCIDR設計(/16, /24 の使い分けなど)

  • ルートテーブル・NACL・セキュリティグループの役割と組み合わせ

  • NLB/ALB/GWLB の配置とターゲット設定

  • VPNルーティング(BGP/静的ルート)

  • Network Firewall の配置パターン

勉強の仕方:

  • 実際に AWS 無料枠+少額課金で 小さな検証環境を作る

    • 2つのVPCを作って VPCピアリング&TGW の両方を試す

    • Site-to-Site VPN を組んでルートの広報を確認

  • コンソール操作だけでなく、CloudFormation テンプレートを読む/書くと理解が深まる

6-3. ドメイン3:ネットワークの管理と運用(20%)

キーワード:可観測性/トラブルシュート/運用ツール

ここでは、

  • CloudWatchメトリクス・ログ

  • VPC Flow Logs

  • Transit Gateway Network Manager

  • Systems Manager(セッションマネージャ、オートメーション)

  • Config / CloudTrail

などを使って 運用・監視・トラブルシュート する力が問われます。

勉強の仕方:

  • VPC Flow Logs を有効化して、実際にどんなログが出るのか眺める

  • Black Beltやドキュメントの「トラブルシューティング」セクションを重点的に読む

6-4. ドメイン4:ネットワークのセキュリティ・コンプライアンス・ガバナンス(24%)

キーワード:多層防御/ゼロトラスト的な考え方

問われるのは、

  • セキュリティグループ/NACL の基本と違い

  • AWS WAF/Shield/Network Firewall の役割の違い

  • プライベートエンドポイント(PrivateLink)を使った閉域構成

  • セキュリティイベントを検知・可視化するサービス(GuardDuty、Security Hub など)

勉強のポイント:

  • 「どの層で何を守るのか?」を分けて整理する

    • L7:WAF、アプリケーションレベルのルール

    • L3/L4:Network Firewall、NACL、SG

    • DDoSレイヤ:Shield

  • コンプライアンス要件(監査証跡が必要、インターネット非公開で、など)に対して、どのサービスを組み合わせるか を考える


頻出サービスの「優先度マップ」

実務でも試験でも 頻出度が高いサービス を優先的に押さえることで、学習効率を上げられます。

7-1. 最優先(Sランク)

  • VPC(サブネット/ルートテーブル/NACL/SG)

  • AWS Transit Gateway

  • AWS Direct Connect

  • Site-to-Site VPN

  • Amazon Route 53(PHZ・Resolver)

  • ALB/NLB/GWLB

  • AWS Global Accelerator

7-2. 重要(Aランク)

  • VPCピアリング

  • AWS PrivateLink(インターフェイスエンドポイント/ゲートウェイエンドポイント)

  • CloudFront

  • AWS Network Firewall

  • AWS WAF/Shield

  • VPC Flow Logs/CloudWatch Logs

7-3. 押さえておきたい(Bランク)

  • AWS Systems Manager(トラブルシュート用)

  • AWS Config/CloudTrail

  • CloudFormation(ネットワークリソースのIaC)

  • Amazon API Gateway(エッジとの組み合わせ時)


ハンズオンプラン:最小構成で「手を動かす」

ただ読むだけでは、ネットワーク系はどうしても頭に残りにくいです。
そこで、「最小構成でもいいので動かす」 という方針でハンズオンを組むのがおすすめです。

8-1. ハンズオン1:マルチVPC構成(TGW vs VPCピアリング)

  • VPCを2〜3個作る

  • 1パターン目:

    • 単純に VPCピアリングでメッシュ接続してみる

  • 2パターン目:

    • Transit Gateway を立てて、各VPCをTGWにアタッチしてスターハブ構成にする

  • それぞれの構成で、ルートテーブルの違い・トラフィックの経路 を確認する

8-2. ハンズオン2:簡易ハイブリッド構成(VPN)

オンプレDCの代わりに、自分のローカルPCや別VPCを「なんちゃってオンプレ」として使い、

  • Site-to-Site VPN を張る

  • 経路が広報されているか(BGPの有無含め)確認する

  • VPN断時の挙動(フェイルオーバー)を確認する

Direct Connect の実機は個人では難しいですが、VPN と組み合わせるパターンを理解しておくだけでも問題に強くなります。


2〜3か月で合格を狙う学習スケジュール例

ここからは、筆者の実際のペース に近い形で、2.5か月のスケジュール例を書きます。

9-1. 1週目:試験ガイド+Skill Builderで全体像把握

  • 試験ガイドPDFを2〜3回読む(通勤時間でもOK)

  • Skill Builder の学習プランをスタート(1日1〜1.5時間)

  • Black Beltの「VPC基礎」「ネットワーク入門」動画を倍速で流し見

9-2. 2〜4週目:書籍でドメイン別に理解を固める

  • 要点整理本を 1日1セクション ペースで読み進める

  • 章末問題を必ず解く

  • 分からないサービスは、公式ドキュメントを1本だけでも読む

このフェーズが 25〜35時間 くらいになります。

9-3. 5〜7週目:問題集&ハンズオン

  • Cloud License 問題集を2周(1日20〜30問)

  • 同時に、簡単なVPC/TGW/VPN構成を1〜2個作ってみる

  • 誤答した問題は「なぜ間違えたか」をノートに日本語で1〜2行書き残す

9-4. 8〜10週目:模試&弱点つぶし

  • AWS公式のPractice Question Setを解く(1回)

  • Udemyの模試を2回分解く

    • スコア70〜80%を目標にする

  • 間違えたサービスについては、Black Belt or 公式ドキュメントに戻って確認

この頃には、

  • Direct Connect/TGW/Route 53/GWLB などの「怖かった名前」が、

  • 「いつもの図とセットで頭に出てくる」状態になっているはずです。


合格体験から見えた「落とし穴」と回避策

最後に、実際に勉強していて「危なかったな」と感じたポイントをまとめます。

10-1. 「業務で使っているから大丈夫」は危険

合格体験記の中でも、

業務でAWSネットワークを触っていたが、それだけでは試験に苦戦した

という声が多くあります。

理由はシンプルで、

  • 実務:自分の担当範囲のサービスに偏る

  • 試験:サービスの幅も深さも 広く問われる

からです。

対策:

  • 試験ガイドの「対象スキル」を 1個ずつ潰す 意識を持つ

  • 自分の現場では使っていないサービスを、優先的に勉強する

10-2. Direct Connect を後回しにしがち問題

DXは個人で触りづらいので、どうしても後回しにしがちです。
しかし、多くの合格体験記で DXが一番の難所だった と書かれています。

対策:

  • 早い段階で DX の章だけ「先読み」しておく

  • 試験前2〜3週間は、DX+VPN+TGW の構成パターンを集中的に復習する

10-3. コスト・運用要件の読み飛ばし

問題文には、

  • 「将来的なスケールを優先」

  • 「初期コストを最小化」

  • 「運用負荷を最小にすることが重要」

などの条件がほぼ必ずと言っていいほど入っています。

対策:

  • 問題を読むときに、コスト/運用/耐障害性 などの要件にマーカーを引くイメージで読む

  • 「技術的に一番カッコいい構成」ではなく、「要件に一番フィットしている構成」を選ぶ


試験当日の戦い方と時間配分

170分/65問なので、単純計算で1問あたり約2.6分です。

11-1. 自分が意識していたこと

  • 1周目は「解けそうな問題から」

    • 明らかに重そうな長文は一旦フラグだけ付けて飛ばす

  • フラグ管理をきちんとする

    • 「見た瞬間分からない」問題にはフラグ+適当な選択肢を入れておく(白紙はNG)

  • 残り時間30分で“本当に重い問題” に戻る

    • Direct Connectやハイブリッド構成の長文など

11-2. 心理的な話

ANSは、正直かなり疲れる試験です。
自分も、後半は「脳がルーティングループ起こしてるんじゃないか…?」と思うほどでした。

ただ、

  • 試験ガイドの範囲をきちんと回し切り

  • 問題集で70〜80%を安定して取れるようになっていれば

体感よりはスコアが出ている ことが多い試験でもあります。


まとめ:最短・最小のストレスで合格するためのチェックリスト

最後に、この記事の内容をチェックリスト形式でまとめます。
AWS Advanced Networking Specialty 勉強方法” の実行フローとして、そのまま使ってください。

チェックリスト

  1. 試験日を 2〜3か月後 に予約する

  2. 公式試験ガイドPDFを最低2周読む

  3. AWS Skill Builder の Exam Prep Plan を1周する(理解7割でOK)

  4. 日本語のANS対策本を1冊決め打ちし、通読+章末問題を解く

  5. 公式ドキュメントとBlack Beltで、DX/TGW/Route 53/GWLB を重点的に補完する

  6. Cloud LicenseやTechStockなどの問題集を2周以上し、70〜80%を安定させる

  7. AWS公式のPractice Question SetとUdemy模試で、試験形式に慣れておく

  8. 直前1〜2週間は「Direct Connect+ハイブリッド構成」「名前解決」「セキュリティレイヤの違い」に絞って総復習

  9. 試験当日は「白紙回答なし」「長文は後回し」「要件キーワードに注目」の3点を徹底する


おわりに:ANS合格の先に見えるもの

AWS Advanced Networking – Specialty に向けた勉強は、
単に「資格1つ追加」というレベルを超えて、ハイブリッドクラウド全体を俯瞰できる力 を育ててくれます。

  • オンプレ⇔AWS⇔SaaS をどうつなぐか

  • セキュリティ/コンプライアンス/運用負荷のバランスをどう取るか

  • グローバル展開を見据えたネットワーク設計をどう描くか

こういった視点は、アーキテクトやテックリードとしてキャリアを積むうえで、確実に武器になります。

平日1〜1.5時間・週末3〜4時間という限られた時間でも、
「試験ガイド → 公式コンテンツ → 書籍 → 問題演習」の順番 を意識すれば、十分合格は現実的です。

この記事が、あなたの AWS Advanced Networking Specialty チャレンジの良い道しるべになればうれしいです。

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